睡眠時無呼吸症候群とは?

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)とは、睡眠中に呼吸が止まったり、呼吸が浅くなったりする状態を繰り返す病気です。

呼吸が止まることで睡眠中に体内の酸素が不足したり、眠りが分断されたりするため、十分に寝ているつもりでも疲れが取れない、日中に強い眠気を感じるといった症状につながることがあります。

本人が症状に気づいていないことも多く、家族や同居している方から「いびきが大きい」「寝ている間に呼吸が止まっている」と指摘されて、初めて受診するケースもあります。

睡眠時無呼吸症候群の種類

睡眠時無呼吸症候群は、大きく「閉塞性睡眠時無呼吸」と「中枢性睡眠時無呼吸」に分けられます。

閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)

睡眠中に喉や舌などが原因で上気道が狭くなったり、塞がったりすることで、空気の通り道が確保できなくなるタイプです。

睡眠時無呼吸症候群の中では、こちらのタイプが一般的です。

中枢性睡眠時無呼吸(CSA)

中枢性睡眠時無呼吸は、気道が塞がっているわけではなく、脳の呼吸中枢から呼吸をするための信号が一時的に適切に送られなくなることで起こります。

心不全や脳卒中などの病気に伴って起こることがあるほか、明らかな原因が特定できない場合もあります。

閉塞性睡眠時無呼吸とは原因や治療方法が異なるため、検査によってタイプを確認することが重要です。

閉塞性睡眠時無呼吸の主な原因

閉塞性睡眠時無呼吸には、さまざまな要因が関係しています。

肥満

首の周囲に脂肪がつくことで、睡眠中に気道が狭くなりやすくなります。

肥満は睡眠時無呼吸症候群の代表的なリスク要因の一つですが、痩せている方でも発症することがあります。

顎の形や骨格

下あごが小さい、または後方に位置しているなど、顔や顎の骨格によっては舌が喉の奥に落ち込みやすく、気道が狭くなることがあります。

扁桃やアデノイドの肥大

扁桃やアデノイドが大きい場合、気道が狭くなって睡眠時の呼吸に影響することがあります。

特に小児では、アデノイドや扁桃の肥大が原因となることがあります。

飲酒

アルコールには筋肉を緩める作用があるため、睡眠中に喉の筋肉が緩み、気道が狭くなりやすくなることがあります。

喫煙

喫煙は気道の炎症や腫れにつながり、睡眠中の気道の狭窄に影響する可能性があります。

鼻づまり

アレルギー性鼻炎などによる鼻づまりも、睡眠中の呼吸に影響することがあります。

睡眠時無呼吸症候群の症状

睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中と日中の両方にさまざまな症状が現れることがあります。

夜間にみられる症状

  • 大きないびき
  • 睡眠中に呼吸が止まる
  • 呼吸が乱れる、浅くなる
  • 息苦しさやむせる感じで目が覚める
  • 寝汗をかく
  • 夜中に何度もトイレに起きる
  • 寝返りが多い、寝相が悪い
  • 朝起きたときに口が乾いている

「いびき」は代表的な症状ですが、睡眠時無呼吸症候群の方全員に大きないびきがあるとは限りません。

また、睡眠中の呼吸停止は本人が気づきにくく、家族や同居者から指摘されて初めてわかることもあります。

日中にみられる症状

  • 日中に強い眠気を感じる
  • 仕事や勉強に集中しにくい
  • 注意力が低下する
  • 疲れやすい、倦怠感がある
  • 朝起きたときに頭痛がする
  • イライラしやすくなる
  • 気分が落ち込みやすくなる

特に、日中の強い眠気は重要なサインです。

車の運転中や仕事中など、眠ってはいけない場面で強い眠気が出る場合には、事故などにつながる危険もあるため注意が必要です。

睡眠時無呼吸症候群の検査

睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合には、症状や生活習慣などを確認したうえで、睡眠中の呼吸状態を調べる検査を行います。

問診

睡眠時間やいびき、日中の眠気、起床時の状態、既往歴などについて確認します。

本人だけでは睡眠中の状態がわからないこともあるため、家族や同居者から、いびきや呼吸停止などについて情報を得ることもあります。

簡易検査

自宅で行える簡易検査では、専用の小型機器を使用して睡眠中の呼吸状態や血液中の酸素飽和度などを測定します。

自宅で検査できるため、普段の睡眠に近い状態で検査できることが特徴です。

検査結果から、睡眠時無呼吸症候群の可能性や重症度を評価するための参考となる情報を得ることができます。

終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)

終夜睡眠ポリグラフ検査は、睡眠中の状態をより詳しく調べる検査です。

脳波、眼球運動、筋電図、心電図、呼吸の状態、血液中の酸素飽和度など、さまざまな項目を同時に記録します。

検査では、1時間あたりに無呼吸や低呼吸が何回起こったかを示す「無呼吸低呼吸指数(AHI)」などを確認し、睡眠時無呼吸症候群の重症度を評価します。

必要な検査は症状や簡易検査の結果などによって異なります。

睡眠時無呼吸症候群の治療

治療方法は、睡眠時無呼吸症候群の種類や重症度、原因、患者さんの状態などによって異なります。

CPAP療法

CPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)は、主に閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対して行われる代表的な治療法です。

睡眠中に専用のマスクを装着し、機器から空気を送り込むことで、気道が塞がらないようにします。

適切に使用することで、睡眠中の無呼吸や低呼吸を減らし、日中の眠気などの改善が期待できます。

CPAP療法は継続して使用することが重要で、使用状況や症状に応じて定期的に治療内容を確認します。

マウスピースによる治療

口腔内装置(マウスピース)を使用して下あごを前方に移動させ、睡眠中に気道が狭くなるのを防ぐ治療があります。

主に軽症から中等症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群などで選択肢となります。

適応については、症状や検査結果、歯や顎の状態などを考慮して判断します。

外科的治療

扁桃やアデノイドの肥大、顎の形態など、気道が狭くなる明らかな原因がある場合には、手術が検討されることがあります。

手術が適しているかどうかは、原因や重症度などを詳しく確認したうえで判断します。

生活習慣の改善

治療方法にかかわらず、生活習慣を見直すことも重要です。

  • 適正体重を目指す
  • 飲酒を控える
  • 禁煙を検討する
  • 睡眠不足を避ける
  • 鼻づまりがある場合は治療する
  • 医師から指示された場合は横向きで寝る

ただし、生活習慣の改善だけでは十分な治療にならない場合もあります。睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、検査を受けて自分の状態を確認することが大切です。

睡眠時無呼吸症候群を放置しないために

睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に繰り返し呼吸が止まったり浅くなったりすることで、睡眠の質が低下します。

その結果、日中の強い眠気や集中力の低下などにつながることがあります。

また、睡眠時無呼吸症候群は高血圧や心血管疾患などとの関連が知られているため、疑わしい症状がある場合には早めに医療機関へ相談することが大切です。

こんな症状があれば相談しましょう

次のような症状がある方は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。

  • 大きないびきを指摘された
  • 家族から「寝ている間に呼吸が止まっている」と言われた
  • 夜中に息苦しくなって目が覚める
  • 朝起きても疲れが取れない
  • 日中に強い眠気がある
  • 集中力が続かない
  • 朝の頭痛が気になる
  • 高血圧を指摘されている
  • 肥満や体重増加がある

特に、日中に強い眠気があり、車の運転や仕事などに支障が出ている場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。

まとめ

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりする状態を繰り返す病気です。

大きないびきだけでなく、朝起きたときの疲労感、日中の強い眠気、集中力の低下などがサインになることがあります。

本人が睡眠中の症状に気づいていないことも多いため、家族や同居者からいびきや呼吸停止を指摘された場合も注意が必要です。

睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、問診や自宅でできる簡易検査、必要に応じて終夜睡眠ポリグラフ検査などを行い、原因や重症度を確認します。

治療は、CPAP療法や口腔内装置、外科的治療、生活習慣の改善などから、状態に合わせて選択されます。

「寝ても疲れが取れない」「日中に眠くて仕方がない」「いびきや呼吸停止を指摘された」という方は、年齢や体型にかかわらず、一度医療機関に相談してみましょう。