「かゆみが止まらず夜も眠れない」「肌を出すのが恥ずかしい」……。そんなアトピー性皮膚炎の悩みを抱えていませんか? アトピー性皮膚炎は、正しい知識と最新のケアで、症状をコントロールしながら笑顔で過ごせる病気です。皆様の肌のかかりつけ医として、当法人が大切にしている治療のポイントを解説します。
1. アトピー性皮膚炎の本質とは?
この病気は、単なる「肌荒れ」ではありません。もともと備わっている「肌のバリア機能」が低下し、そこにアレルギー体質などの内的要因と、乾燥や刺激などの外的要因が重なって起こる慢性の湿疹です。
かつては子供特有の病気と思われていましたが、現代では大人になってから発症したり、再発したりするケースが非常に増えています。
2. 見逃せない症状のサイン
アトピーの特徴は、「左右対称に現れる強いかゆみ」と、良くなったり悪くなったりを繰り返す経過にあります。
- 肌の状態: カサカサと乾燥した状態から、かき壊してジュクジュクしたり、ゴワゴワと厚くなったり(苔癬化)と変化します。
- 生活への影響: 特に夜間に体温が上がるとかゆみが激化し、睡眠不足から仕事や学業のパフォーマンスが低下するなど、QOL(生活の質)に直結する深刻な悩みとなります。
3. なぜ起こる? 多様な悪化因子
原因は一つに特定できず、パズルのように複数の要素が組み合わさっています。
- バリア機能の脆弱性: 角層の乱れにより、外部刺激がダイレクトに侵入。
- アレルギー素因: 喘息、花粉症、食物アレルギーなど。
- 環境刺激: ダニ、ホコリ、汗、衣類の摩擦、精神的ストレスなど。
4. 部位ごとの悩みと注意点
- 顔・首: 目立ちやすいため精神的ストレスが大きく、間違ったセルフケアで悪化させやすい部位です。
- 関節(肘・膝の裏): 汗が溜まりやすく摩擦も多いため、炎症が慢性化しやすい傾向があります。
- 体幹・手足: 広範囲にわたることが多く、バリアが壊れた場所から「とびひ」や「ヘルペス」などの感染症を併発することもあります。
5. 自宅で今日からできる「3つのセルフケア」
治療の土台は毎日の積み重ねにあります。
- 「洗う」を優しく: 洗顔料やボディソープをしっかり泡立て、手で包み込むように洗います。38〜40℃のぬるめのお湯を心がけましょう。
- 「5分以内」の保湿: 入浴後は急速に乾燥が進みます。タオルで優しく拭いたら、すぐに保湿剤で蓋をしてください。
- 「住環境」の改善: 掃除機がけでアレルゲンを減らし、爪を短く整えて「かき壊し」を物理的に防ぎましょう。公園を散歩するなど、リフレッシュしてストレスを溜めないことも大切です。
6. 当院の診断・治療アプローチ
「どこに行っても同じ……」と諦める必要はありません。医療は日々進歩しています。
- 精密な検査: 問診に加え、必要に応じて血液検査(TARC値など)で炎症の度合いを数値化。「なんとなく良くなった」ではなく、客観的なデータで改善を実感していただけます。
- 治療の三本柱: 「薬物療法」「スキンケア」「悪化因子の除去」を組み合わせます。
- 進化した最新治療: 従来のステロイド外用薬に加え、現在はデュピクセントなどの注射薬や、JAK阻害薬(内服薬)といった画期的な選択肢があります。これらは、従来の治療で満足な効果が得られなかった方にとって大きな希望となっています。
最後に
アトピー性皮膚炎のゴールは、症状が出ない、あるいは出ても軽く、日常生活に支障がない「寛解」の状態を保つことです。
市販薬を数日使っても改善しない、かゆみで眠れないといった場合は、お早めにご相談ください。私たちは皮膚の症状だけでなく、患者様の「心のかゆみ」にも寄り添い、共に歩んでいきたいと考えています。


