粉瘤(ふんりゅう)とはどのような病気?
粉瘤は、医学的には「アテローム」や「表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)」と呼ばれる、皮膚にできる良性腫瘍の一種です。
よく「脂肪の塊」と勘違いされますが、実際は異なります。皮膚の一部が袋状の構造(嚢腫)を作り、その中に本来剥がれ落ちるはずの古い角質(垢)や皮脂が溜まってしまった状態です。袋の中身は老廃物であるため、強く押すと出口(開口部)から独特の強い臭いを放つドロドロとした物質が出てくるのが特徴です。
発生しやすい場所と放置するリスク
粉瘤は全身のどこにでも発生する可能性がありますが、特に以下の部位によく見られます。
- 顔面・耳の後ろ・首周り
- 背中・腰
- お尻
原因の多くは不明ですが、ニキビ跡や外傷がきっかけになることもあります。
放置しても自然に消えることはなく、徐々に大きくなります。時には数センチから、稀に野球ボールほどのサイズまで成長することもあります。また、細菌感染を起こすと「炎症性粉瘤」となり、激しい痛みや赤腫れを引き起こし、最終的には破裂して膿が出てしまうこともあります。
自己判断は禁物!粉瘤と見分けがつきにくい疾患
「ただのしこり」に見えても、実は粉瘤ではないケースも多々あります。正確な判断には専門医の診断が不可欠です。
| 疾患名 | 特徴 |
| 石灰化上皮腫 | 皮膚の下で非常に硬く触れるしこり。子供に多い。 |
| 脂肪腫 | 脂肪細胞が増殖したもの。柔らかく、炎症は起こしにくい。 |
| ガングリオン | 関節付近にでき、中にゼリー状の液体が溜まる。 |
| 脂腺嚢腫症 | 小さなしこりが多発する。遺伝的要因が関与。 |
| 類皮嚢腫(デルモイド) | 出生時からの組織の残存。目元などにできやすい。 |
| 耳前瘻孔 | 耳の付け根にある小さな穴から感染を繰り返す先天性のもの。 |
粉瘤の治療:根本解決には「手術」が必要
粉瘤は飲み薬や塗り薬で「袋」そのものを消すことはできません。完治には外科的な摘出が必要です。
1. 炎症が起きていない場合(通常の手術)
- 紡錘形切除法(ぼうすいけいせつじょほう): しこりの形に合わせて皮膚を木の葉状に切開し、袋ごと丁寧に取り出します。傷跡が目立たないよう、皮膚のシワに沿って縫合します。
- くり抜き法(へそ抜き法): 特殊な器具で小さな穴を開け、そこから内容物を排出した後に袋を抜き取ります。傷跡が最小限で済むため、顔などの目立つ場所に適しています。
2. 炎症・感染がある場合
- 軽度の炎症: 抗生物質で細菌の増殖を抑え、落ち着いてから摘出手術を検討します。
- 化膿が激しい場合: まず皮膚を切開して膿を出す「切開排膿」を優先します。この段階では袋が癒着しているため、炎症が完全に引いた数ヶ月後に改めて全摘出手術を行います。
【注意】無理に潰さないでください!
自分で中身を押し出そうとすると、袋が皮膚の中で破れて炎症が広がり、重症化して大きな傷跡が残る原因になります。
まとめ:早めの受診が「小さな傷跡」への近道
粉瘤は小さいうちに治療すれば、手術時間も短く、傷跡もほとんど目立たなくすることが可能です。「少し大きくなってきたかも?」「臭いが気になる」と感じたら、炎症が起きる前に当院へご相談ください。
監修:医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一


