はじめに:小児期によく見られる疾患とその対応
子どもは免疫機能がまだ発達途上にあるため、大人と比べて様々な病気にかかりやすい傾向があります。特に、かぜ(風邪)や消化器系の感染症(胃腸炎)、皮膚の発疹を伴う疾患などは小児科で頻繁に診られます。
これらの病気に対して、保護者の方が適切な対応方法や、医療機関に相談すべきタイミングを把握しておくことは非常に重要です。本記事では、小児科でよく見られる主な疾患について、その症状、一般的な治療法、そして予防のポイントを詳しく解説します。
😷呼吸器系の疾患:かぜとインフルエンザ
かぜやインフルエンザは、子どもたちが最も高頻度でかかる病気の代表格です。特に冬季はインフルエンザの流行シーズンとなるため、注意が必要です。
1. かぜ(普通感冒)
主に鼻水、咳、喉の痛み、発熱といった症状が現れます。軽度であれば、自宅で安静に過ごし、十分な水分補給を心がけることが大切です。ただし、高熱が続く、咳がひどくなり止まらない、食欲不振などの症状が見られる場合は、小児科を受診しましょう。
2. インフルエンザ
症状はかぜと似ていますが、突然の高い発熱、全身の倦怠感、関節痛などが特徴です。小児が感染した場合、重症化するリスクもあるため、迅速に医療機関を受診し、適切な治療を開始することが重要です。
🛡️予防のポイント
インフルエンザには予防接種が有効です。また、かぜの予防も含め、日頃から手洗いやうがいを徹底し、外出後には必ず手を洗う習慣をつけましょう。
🦠消化器系の疾患:胃腸炎(嘔吐・下痢)
胃腸炎は、嘔吐や下痢を主な症状とする病気で、特に乳幼児や小さな子どもに多く見られます。原因により、ウイルス性、細菌性などに分類されます。
1. ウイルス性胃腸炎
ロタウイルスやノロウイルスなどが主な原因です。吐き気、嘔吐、下痢、発熱が見られます。特に下痢が続くと脱水症状のリスクが高まるため、こまめな水分補給が必須です。
2. 細菌性胃腸炎
汚染された食品や水を介して感染することがあります。嘔吐や下痢が激しくなりやすく、症状が長引く場合は医師の診察が必要です。
🏠家庭でのケア
症状が軽い場合は、食事は消化の良いものを選び、水分補給には経口補水液やスポーツドリンクを利用して脱水に注意しましょう。
🚨受診の目安
嘔吐や下痢が激しく水分が全く摂れない、体重が急激に減る、血便が出るなどの症状が見られる場合は、速やかに医療機関に相談してください。
🤧アレルギー関連疾患:喘息、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎
アレルギー疾患は、特定のアレルゲン(抗原)に対する過敏な免疫反応によって引き起こされ、小児期に特に注意が必要です。
- 喘息(ぜんそく) 気道の慢性的な炎症により、呼吸困難や長引く咳が特徴です。季節の変わり目や、かぜをきっかけに発作が悪化することがあります。定期的な吸入薬などの管理と、発作時の適切な対応が重要です。
- 食物アレルギー 特定の食品(卵、牛乳、ピーナッツなど)を摂取することで、皮膚の発疹、顔の腫れ、時には呼吸困難などのアレルギー反応を引き起こします。アレルゲンの回避が最も効果的な予防策です。
- アトピー性皮膚炎 乳児期から発症することが多い、慢性的なかゆみを伴う皮膚の病気です。皮膚のバリア機能の低下とアレルギー体質が関係しており、適切なスキンケアと外用薬による治療、そして医師の指導に基づく管理が欠かせません。
🔴発疹を伴う感染症:水痘、溶連菌、手足口病
発疹を伴う病気は感染力が強いものが多く、集団生活を送る子どもたちは特に注意が必要です。
- 水痘(水ぼうそう) 水痘・帯状疱疹ウイルスによる非常に強い感染力を持つ疾患で、発熱とともに、かゆみを伴う紅斑・水疱・かさぶたが全身に出現します。予防接種で予防が可能であり、全ての発疹がかさぶたになるまで登園・登校はできません。
- 溶連菌感染症 主にA群溶血性連鎖球菌による急性咽頭炎で、突然の発熱、喉の痛み、扁桃の白い付着物、イチゴ舌、発疹(猩紅熱)などが特徴です。抗菌薬による治療が有効で、感染対策のため抗菌薬開始後24時間は出席停止となります。
- 手足口病 口の粘膜に小さな水疱ができ、手のひらや足の裏に発疹が現れます。夏に流行し、多くは軽症ですが、まれに重症化することもあります。
🧼予防のポイント
麻疹や風疹などには定期的な予防接種を受けましょう。手足口病のように接触で広がるウイルス性の病気は、こまめな手洗いと環境の清潔を保つことが予防につながります。
📝まとめ:子どもの健やかな成長のために
子どもがかかりやすい病気には、風邪や胃腸炎からアレルギー疾患、発疹性の疾患まで多岐にわたります。保護者として、流行状況や注意すべき症状を知っておくことは、病気の早期発見や重症化の予防に繋がります。
予防接種のスケジュール管理、手洗い・うがいの励行、そしてバランスの取れた栄養管理など、日々の健康習慣を大切にすることで、お子様が健やかに成長できるようサポートしていきましょう。
監修 医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一
クリニック情報 東武スカイツリーライン 五反野駅より徒歩2分。


